GCPを遵守した治験の手順

治験を実施するためには、①治験薬概要書・実施計画書の作成、②医療機関および医師の選定、③医薬品の管理、④副作用の情報収集、⑤記録の保存など、依頼および管理に係る手順書を作成する必要があります。治験薬の質、前フェーズまでの試験成績(第1フェーズの場合は動物を対象とした非臨床試験で得られたデータ)等を、客観的にまとめた治験薬概要書を作成します

被験者の人権保護が最優先です

実施計画書は、医薬品を被験者に投与した際に確認すべき項目を明確にするための根幹となるものです。治験薬の性質とこれまで得られたデータを吟味したうえで、確認すべき目標が明確になるような方法を設定しなければなりません。

治験実施計画書と同時に作成するCRF(症例報告書:Case Report Form)の見本は、医師に正確なデータを記載してもらうために、記載しやすい設計にする必要があります。加えて、CRFのデータをコンピュータに入力し、データをマネジメント(DM:Data Management)する人にも入力しなければなりません。

被験者から治験への参加の同意を得るために用いられる説明文書は、医師が作成を行います。そして、CRC(治験コーディネーター)が、その説明文書をもとにして、被験者に投与される医薬品の効能や副作用等の情報などをわかりやすく説明し、自身の判断で治験参加の是非を決定できるようにします。

治験中に被験者が治験の継続意思に影響を与えるような情報(非臨床試験で発がん性が見つかった、重篤な有害事象が報告された等)がわかった場合には、ただちに医療機関の長および担当医師に報告し、医師から被験者に対して説明を行い、継続の意思があるかどうかを確認しなければなりません。

治験を実施する医療機関と医師の選定は、依頼者側すなわち製薬企業に責任があります。したがって、依頼者は治験を適切に、つまりGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)を遵守して実施できる医療機関および医師を厳選しなければなりません。治験の質とスピードの両方を確保するためには、この選考は非常に重要です。

実施計画が決定したら、依頼者の治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board)に諮り、実施計画の承認を得ます。承認がなされれば、実施医療機関の長とその間で契約を締結します。その際、治験責任医師も契約内容を確認するため、その契約書に記名捺印または署名をします。

治験の依頼者である製薬企業が業務の一部を開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)に委託する場合は、医療機関、医師、CROとの三者契約を締結しなければなりません。契約に盛り込む内容はGCPを参照し、漏れがないように注意します。